ROUNE CHAIR

ROUNEの着想となったのは、1940~60年代頃、いわゆるミッドセンチュリー期の北欧デザイン。その曲線的で柔らかな輪郭を踏襲しつつ、各パーツの構成は水平・垂直を強く意識。これにより、北欧的なあたたかみとピンとした緊張感が混在する佇まいが生まれている。

まず目を惹かれるのは、後ろ姿の美しい2本の繊細な背もたれ。パーツの座面側が斜めに削られていて、細身ながらしっかりと身体に沿って支えてくれる。背もたれは緩やかな弧を描いたのち、流れるように滑らかなアールで後脚に接続。優雅さと一体感を印象付けるこの接合部は、ROUNEの意匠において最も重要なディテールとなっている。脚部や貫を細く絞りながらも、負荷が大きくかかる座枠やその接合部分は充分に断面寸法を確保。強度と軽やかさを兼ね備えている。地に対して垂直に伸びる脚部は、穏やかなフォルムの中に凛とした空気を含ませ、複数脚を並べた際の見え方も美しい。

アームチェアと、アームの無いサイドチェア。タイプはこの2種類。アーム部分はぷっくりとした丸みを帯びながらも、端に向かって薄くなるよう、エッジが生まれるよう削り出されていて、全体の印象をシャープに締めている。細身のアームだからアームチェアとしてはコンパクトなサイズ感に仕上がっていて、かといって物足りなさは無く、腕を置いてみるとアーム幅はこれで充分に感じる。フルアームにつき、チェアから立ち上がる時も楽だ。サイドチェアはアームが無いことで脚部の直線がより強調されていて、よりすっきりとした印象。また、横幅がアームチェアと比べてさらにコンパクトで、アームが無いぶんチェアへの出入りもしやすい。

ウォールナット無垢材のフレームに、座面はブラックのPVCを張り込んである。PVCは耐久性や防汚性に優れるとともに、ファブリックや本革と違って水拭きでき、中性洗剤の使用もOK。メンテナンスがとても簡単だ。ブラックはウォールナットの落ち着いた色合いとの相性も特に良い。木部は無垢材につき、言うまでもなくパーツそれぞれに多彩な表情があらわれている。

丸み(ROUND)を帯びた繊細な線(LINE)で構成された造形から、ROUNEと名付けられた。柔らかさ、シャープさを併せ持つROUNEは、シックなコーディネートにも、温かみのある優しいコーディネートにも自然に融け込んでくれる。