「シンプル」であることを丁寧に、そして素材感たっぷりに突き詰める。HITSUはそんなテーマをもってデザインされたAVボードだ。
前板には無垢材を使用。それだけでなく、連続する扉の木目がひとつながりになるように仕上げてある。木目が繋がることで、ボード全体がまるで1つのおおきな木の塊のように一体感を帯び、より洗練された印象が生まれている。天板、側板、地板は「留め」と呼ばれる伝統技法で接合されていて、天面にも側面にも小口が出てこない美しい仕上がり。木部はウレタン樹脂塗装ではなくオイルで仕上げているため、チープな光沢感も無く、素材の風合いをそのままに感じられる。低く横長のプロポーションは、空間を広く見せてくれる効果も。素材はウォールナットまたはオークで製作でき、サイズも別注可能。
通常、デッキ収納部分の前板にはリモコンの赤外線が通るようブラックガラスを用いたり、木板にスリットを施したりする。しかし、HITSUでは徹底して天然木の素材感だけを活かしたナチュラルな印象に仕上げるため、そのような味付けされてしまう素材や意匠は避け、前板をつけないオープン仕様とした。また、デッキ収納を上下に分割する棚板は、小口面を斜めにカット。これにより実際の厚みよりも薄く見え、ボード全体にシャープで緊張感ある印象がもたらされている。
テレビ周りの配線をすっきりとまとめられるように、ボードの裏側に配線のためのスペースを設けた。ちょっとした、余白のような場所。ここにマルチタップを置いておけば、コード類を集約しておけて、配線の露出を抑えられる。
極限までそぎ落とした意匠や、緊張感をもたらす留め接合、テーパーのかかった、見えがかりの細い棚板。そこから醸される、ひっそりと静かで、しんとした空気感から、「HITSU(謐)」と名付けられた。単純さを突き詰めながらも、ひとつひとつのディテールを丁寧に扱う。そうして生まれる佇まいには、控えめでありながら、ただのベーシックとは違う「洗練」を感じ取ることができる。
木部の仕上は、素材本来の質感を最大限に活かすためオイル仕上を採用しています。普段のお手入れは基本的には乾拭きで、汚れた時は固く絞った布で拭き取ってください。オイル仕上は撥水性を備えていますが、強力なものではありません。水滴のついたグラスなどを直置きして放置すると、輪染みになってしまう場合があります。そのため食卓では、コースターやプレイスマットのご使用をおすすめします。お届け直後はオイルがたっぷりと浸透していますが、使い続けるうちにオイルは徐々に揮発していきます。表面にかさつきを感じた時を目安に、1年に1、2回程度メンテナンスオイルを塗布いただくと、しっとりとした風合いが蘇り、味わいも深まります。冬場は特にエアコンの風で乾燥し、反ったり割れたりを起こしやすくなるため、冬前のお手入れをおすすめします。
無垢材は、夏場は吸湿して膨張し、冬場は放湿して痩せます。そんなふうに呼吸し、伸縮を繰り返しているため、季節の移り変わりの中でクラックが生じることもあります。しかしながら、長く使い続けるうち、そんなクラックも、あるいは増えていく傷や染みも、経年変化とともにだんだんと馴染んでいき、やがて味わいに変わっていきます。自然素材ならではの変化をあたたかく見守りながら、末永くおつきあいください。